カナダで活躍するアーティストたち…。彼らはこのカナダで何を感じ、何を創造しようとしているのだろうか? そんな彼らに焦点をあて、彼らの想いを追う!
(取材・文:三好 茜)

Oil Painter  Michael Dowad



「絵を描くのが好きだし、作品を見てもらうのも快感なんだ。そして、それを見た誰かが、何かを感じてくれたのなら、もう最高だね」と笑顔を見せるイラストレーターAaron Baggio。イラストだけでなく、コンピューターを駆使したデジタルアートも手がける。真っ白な紙と黒の先細インクペンから、バンクーバーの自然と人、そして彼のユニークな感性が混じり合った、まるでおとぎ話の1ページのような世界が繰り広げられる。



「とりあえず」でオーストラリア進学
 ある晴れた日の正午前、真っ白な空間が印象的なカフェで、Aaronの姿を見つけた。大きな口と目元をほころばせ、人懐っこい笑顔を浮かべる彼の、差し出された頼もしい肉厚の手。ここから繊細で幻想的、かつユーモア溢れる作品の数々が生み出されていくのだ。
 グラフィックデザイナーの父と、イラストレーターの母を持つAaron。子供の頃から生活にはいつもアートがあり、よく絵を描いていたと言う。多感な10代を国際都市バンクーバーで過ごし、高校を卒業後、両親の故郷であるオーストラリアの大学に進学、建築学を専攻した。「両親の勧めで、とりあえず進学はしたけど、特に建築を学びたかったわけじゃないんだ。これなら興味が持てるかな、と思っただけで。若い頃は、そういう決定ってよくあるだろ?」。

未来につながるきっかけは、
些細なことから

 在学中、建築図面をデザインする際によく使ったのは、先の鋭く尖ったインク式のペン。その筆感と細いペン先が生み出す繊細なラインは、Aaronに「描くこと」の楽しさを改めて実感させ、のめり込ませた。「結局建築家にはならなかったけど、図面書き用のこのペンが、僕の今のルーツなんだ」と笑うAaron。こうして現在のスタイルと、イラストレーターになりたい、という将来像が徐々に確立していった。
 大学を卒業後、バンクーバーに戻った彼が見つけたのは、ウィスラーにある出版社でのアーティストの求人情報。「とにかくお金がなかったから、ヒッチハイクしてウィスラーまで行った。そして面接では今まで描き貯めてきた作品集を見せたんだ」。こうして首尾よく仕事を手に入れ、約3年間をウィスラーで過ごした。Aaronの『Landscape』シリーズには、ウィスラーの自然をモチーフにしたものが多い。その後もイラストレーター、アートディレクターとして経験を着々と積み、個展は2度開催。現在はバンクーバーにある出版社でのアートディレクター、またフリーランスイラストレーターとしても活動を続けている。
 今後のAaronの夢であり、目標は「一生この仕事を続けていくこと、かな。作品を仕上げるのに時間がかかることが多いから、途中で諦めそうになったことも何度もあるし、『しんどいな』と思うことだってしょっちゅうだよ。それでもこの仕事は、僕にとってLife Going Projectなんだ」。そう言って照れたように笑う。
 Aaronは、これからも白紙上に独自の世界を繰り広げ、そこに作り出される物語に人々を引き込んでゆくのだろう。

ビートルズ好きのAronのお気に入り作品の1つ、
『John & Yoko』
自ら撮影した写真を元に作品を造ることも。このペンがAronのルーツだ
ウィスラーの自然をモチーフに幻想的な世界が広がる『Landscape』シリーズ
 

 
Aaron Baggio
トロント生まれ。13歳の時に家族でバンクーバーに移住。大学卒業後、ウィスラーを拠点とするPIQUE Magazine、続けてWhistler Blackcombに就職し、各誌の表紙デザインなどを担当。現在はフリーランスとしても活動し、「Georgia Straight」などに作品が掲載される傍ら、観光情報誌「WHERE」のアートディレクターとして「Where Vancouver Magazine」「Where Alaska Magazine」「Where Dining Guide」の表紙も手がける。自身のウェブサイトを作成したり、写真撮影も趣味の1つ。
WEBサイト: http://www.aaronbaggio.com

 
 
 

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