今年も夏の旅行シーズンが近づいてきました。そろそろ旅の計画を始めようかな、という方もいらっしゃるでしょう。旅行代理店でパンフレットをもらったり、旅がテーマのブログで情報を集めたり。最近は現地発着ツアーを販売するウェブサイトがたくさんあるので、日本から来られる方も航空券とホテルだけ日本の旅行会社で予約して、観光はインターネットを利用して自分で探す方も増えています。各地に個性的な旅行商品がいっぱいあるので、いろいろ組み合わせて自分だけのオリジナルな旅が作れるのは魅力的。でも実はちょっと困ったことも起きているのです。
20年ほど前までは、日本の大手旅行会社がツアーを企画して、その現地支店がホテルの仕入れや送迎・観光の手配を担当し、お客様が到着されたら社員ガイドがご案内するのが常識でした。つまり、日本でA社に申し込んだお客様は、現地でもA社だけを利用していたのです。ところが1995年以降、現地のツアーやホテルを自分でネット予約できるサイトが急増。以前は旅行代理店を通してしか買えなかった航空券も、2002年以降は航空会社のサイトで買えるようになりました。インターネットのおかげで、現地の旅行会社と日本のお客様が直接やりとりするようになり、自社サイトからのお申し込み件数も年々増えています。
そのため、航空券はネットで、ホテルはA社、送迎はB社、観光はC社とD社とE社でいろいろ予約というように、近頃では利用会社がバラバラなことも珍しくありません。旅行業のプロなら多数の手配を同時進行でこなすのが仕事なので、どこに何を
依頼したのかいつも把握していますが、お客様の中には、どこの会社にどのツアーを申し込んだのか忘れて、同じツアーを複数のサイトや旅行代理店で二重、三重に予約してしまう方も。
C社とD社とE社のどれかで取れればいいと思いがちですが、実はひとつの現地会社がツアー商品を各社に卸していたりするので、受け手側ではダブルブッキングが一目瞭然。結局は、お客様に連絡して、どれかをキャンセルしていただくことになります。出発間際の場合は、それだけでも時間の無駄ですね。ツアー情報には必ず「催行会社」という項目があるので、ここに同じ会社名が入っていたら、ひとつの旅行会社や旅行サイトに絞って予約してください。
さらに、催行会社が異なる場合のダブルブッキングは、予約の重複が現地でわからないので、キャンセルを忘れると大変なことになります。実際、オーロラ観賞ツアーを2社で同時予約して、行かなかったほうの会社から多額の取消料を請求されたケースがありました。串カツソースは二度漬け厳禁、ツアーの二重予約もやらないほうが賢明です。
もうひとつ困るのが、現地滞在中のケガや体調不良の緊急対応。昔はご利用会社1社が責任を持って旅の最初から最後までお世話していましたが、お客様ご自身での自己手配が多くなった今では、どこの会社が対応するべきか、わからないことが多々あります。航空会社はお客様が空港から1歩出たらヘルプすることはありません。ホテルやツアーをネット予約できるウェブサイトには現地支店がないので、緊急時の対処については相談できません。できれば観光だけでも、日系の旅行会社を通して申し込んでおけば、何事かあった時には手助けしてもらえます。