キッチンヘルパーの毎日
キッチンヘルパーの仕事は、単純で、タフで、そして健康的だった。
キッチンヘルパーは私1人。表で楽しそうにバリスタとして働く同僚たちを羨ましく思うこともあったけれど、同僚はキッチンに用がある度に私に声を掛けてくれた。それぞれの役割は違えど、英語を介して一緒に働く仲間ができたことが、とても嬉しかった。
ランチタイムのラッシュ時、必死に洗ってもお皿が追いつかない時は、食事後おしゃべりに夢中になっているお客さんのもとへ突撃し、お皿を奪いに行くということもやってみたりした。少しでも英語に触れるための、私なりの作戦だった。
ここで働き始めて一番大きかったことは、大切な仲間に出逢えたということだと思う。スタッフの国籍はカナダ、日本、台湾、フランス、アイルランドなどバラバラだったが、同世代ということもあり、とても仲が良かった。
素敵な出逢いに恵まれたことは、私のワーホリ生活においてかけがえのないものとなった。バックグラウンドは違っても、近い価値観や目標を持っている人たちが集まっているから、言葉や国籍を越えて共感できる喜びを知った。
もちろん、それを繋いでくれたのは『英語』という共通言語で、相手を知りたい、自分のことを伝えたいという思いが英語を勉強する原動力にもなった。
キッチンヘルパーではあったけれど、英語環境、しかも憧れのカフェでの仕事は手に入れた。大切な仲間にも出会った。充実した楽しいワーホリ生活を送っていた。
そんな思いを抱えながら仕事を続け、気づけばワーホリビザは残り3ヵ月となっていた。