冬から春へ
2月・如月(きさらぎ)は、1年で最も寒さが厳しい季節と言われています。それでも「大寒(1月20日)」が過ぎ、2月に入り季節を分けるとされる「節分(2月2日)」、そして「立春(2月3日)」が来れば、冬極まり春の気配が立ち始める季節です。
バンクーバーでも曇りがちで肌寒い日が続いていますが、日々知らぬ間に少しずつ春へと近づく頃です。それは早春を告げる梅の花など、目に映る草木が少しずつ柔らかい彩を添えくれる待ちに待った季節でもあります。
「巣ごもり」の食事を演出する日本酒
昨年始めからのコロナ感染拡大で、国境は閉鎖されるなど世界は混乱し、やっと待ちに待ったワクチン接種が始まりましたが、いつ収束するのかは依然不透明のままです。世界的な経済に大打撃をもたらしているコロナですが、我々アルコール業界へも大きく影を落としています。
20年前、日本全国の酒蔵数は2,000蔵にも及んでいましたが、経済不況で現在自社銘柄を販売している酒蔵は1,000社にも満たないと言われています。そして今、更に多くの酒蔵が廃業に追い込まれているのです。生き残りをかけ多くの酒造は、様々なアイデア商品の開発やコロナ禍の「巣ごもり」需要に耳を傾け、オンライン蔵開きやライブ配信など新しい取り組みにも意欲的に挑戦されています。
この「巣ごもり」生活の中、家族と過ごす時間や食卓を囲む時間が増えたことで、心の余裕が生まれ、改めて家族の大切さや感謝の気持ちも生まれてくるのではないでしょうか。そう考えるとコロナ禍でも考え方次第では良いこともあるのではと思えるようになってきたのです。
ステイホームの「巣ごもり」生活の中で、毎日繰り返される「食す / 食事」が大変重要だと思いませんか? 日々の「食事」は、身体を健康にし、活力を与えてくれます。季節の恵みに感謝し、旬な食材を頂くことで「生きる力」を得るのです。これは、日本古来からの伝統文化でもあります。「日本酒」はその生きる力を得る「食す / 食事」のひと時に彩りを与え、大切な人との時間をより豊かにしてくれるのです。
「巣ごもり」時の日本酒の飲み方のヒントをひとつお話します。最近では多くの種類の日本酒を見かけるようになりましたが、その中でも「特別純米酒」を一度試飲してみて下さい。
「純米酒」は、米と米麹そして水だけを原料にして醸造された日本酒で、その土地の原料であるお米の旨味や味わいが分かりやすいお酒です。「特別純米酒」とは、精米歩合60%以下か、酒蔵が地元の水と酒米で独自のこだわりの製法で醸造した日本酒です。また純米酒は、どんな温度でも美味しく飲める日本酒と言えます。しかし私は最初に試飲する一杯目は、先ず常温からぬる燗(人肌)でゆっくりと頂くようにしています。日本酒の温度を少し高くすることで、お酒のカドが取れ、お米の旨味や香りも立ちやすくなり、酒本来の美味しさを感じやすくなります 。
「雲の上はいつも晴れ」
日本では非常事態宣言が再発令され、カナダではロックダウン状態でコロナ感染拡大の収束する兆しははまだまだ先のようです。今年のお米の減産は過去最大と云われており、酒造りに関しても、ほぼ全国の酒蔵は減産せざるを得ない状況です。
先日お世話になっている酒造会社の社長とお話しをしていた時、ふとその方が「雲の上はいつも晴れ」です。止まない雨はありませんから、力を合わせて頑張りましょう!と激励頂きました。先ずは自ら周りに明るく希望を持って接することから始めようという事ですね。 大変勇気をいただきました。自然の恵みに感謝し、皆さんの健康を祈って、一献献上!
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