カナダでキャリアを築くには色々な方法があります。日本で培った経験を活かしてさらなるキャリアアップを試みる人もいるでしょうし、日本でのキャリアとは全く異なる方向、いわゆるキャリアチェンジをカナダで試みる人もいます。今回のシリーズではキャリアチェンジを含めカナダで日本人の方々がキャリアを築く上で何が重要なのかを様々な方の例を交えてご紹介していきたいと思います。
事務職からソーシャルワーカーの道へ転身
大学卒業後は貿易会社の事務職に就いたM さん。しかし、入社してから5 年が経った頃から“海外”へ行きたいという思いがフツフツと湧いてきました。そして、その年の年末には会社を辞めワーキングホリデーを利用してカナダへ渡航することに。
しかし、実際のバンクーバーでの生活は日本で思い描いていたものとはかけ離れており、自分の考えがいかに甘かったか、計画をしっかり立てずに海外へ渡航することがいかに無防備だったかを思い知らされるのでした。
海外で自分がやりたいことをやるにはまず語学力、そしてその分野で通用するスキル・知識が必要だということが分かり、 次の渡航準備をするために、いったん日本に帰国することを決めました。
日本で派遣のお仕事をしながら、早朝と週末にTOEFL の勉強をしてMさんが目指したのがUBC のBachelorof Social Worker です。バンクーバーで何度なく壁にぶつかり、辛い思いをしても相談するところがなかなか見つからなかった自身の経験から、自分のような悩みを持った人たちを今度は自分が助ける立場になりたいという強い思いからソーシャルワーカーという職業に就きたいという夢ができたそうです。
失望をパワーに変え、仕事と学業を両立させながら夢の実現へ
1 年半の日本での渡航準備期間後、UBC のBachelor of Social Worker(BSW) を2 年かけて修了したM さんが、次に目指したのがMaster of Social Worker (MSW)。大学院レベルのプログラムを修了することでソーシャルワーカーとしてさらなる経験を積み、知識を増やすことができ、キャリアの幅も広がると考えたMさんでしたが、就学だけに没頭できる経済環境ではなく学費+生活費を維持するために、パートタイムのお仕事をしながら大学院のプログラムを修了しなければならず、精神的にも体力的にも大変だったそうです。しかし、そういった経験をすることが自分への自信へとつながり、人へ伝える言葉にも重みが出てきたとのこと。大学でのプロジェクト、そしてインターンシップを通してメディカル系のソーシャルワーカーとしてのキャリアの道を進みたいと思うようになったそうです。
現在は、重い慢性疾患やHIV に苦しむ女性のカウンセリングを病院で行っているM さん。日本でのOL 時代には到底経験することができなかった「やり甲斐」を日々実感しているとのこと。
自分が思い描いていたことができないからと、ただただ失望して諦めてしまう方もいらっしゃると思いますが、M さんはその失望から次へのパワーを生み出し、ちゃんと夢を実現されているのが凄いですよね。
「何も努力せずには何も生まれない」
Bachelor だけに留まらずMaster まで修了され、そして言語の壁を乗り越えてソーシャルワーカーとして活躍されていらっしゃるM さんを見ているとつくづくそう思えます。