ボーイング「737 MAX」が生産停止
この737シリーズの累計生産機数は1万機を超え、現在のところ旅客機としては世界一の機材なっています。日本でもなじみ深く、JAL(日本航空)やANA(全日空)、スカイマークなどが導入をしています。そしてこのボーイング737「MAX」はその中でも最新モデルで、シリーズの第4世代にあたり、第3世代と比べても低燃費で低騒音のエンジンが採用されたり、コクピットの設計が見直されたりしています。騒音を下げるためにエンジン後部に刻まれたギザギザの「シェブロンノズル」が特徴的ですが、このエンジンの採用に伴う機体の設計変更が、残念ながら続けざまに2度の墜落事故を引き起す原因になりました。
ライオン・エア610便墜落事故
事故機は、2018年8月13日にライオン・エアに納入されたばかりの機材で、墜落時の総飛行時間はわずか800時間ほどだった。エンジンはCFMインターナショナル LEAPを2基搭載していた[。これは、2017年に就航したボーイング737 MAXで初めての事故でありボーイング737で発生した事故の中でも最悪の犠牲者数を出すものとなった。また、ボーイング737の事故としてはニューギニア航空73便着水事故からわずか1ヶ月後に起きた事故である。(ウキペディア)
エチオピア航空302便墜落事故
事故機は、2018年10月30日に初飛行し、同年11月17日にエチオピア航空に納入されたばかりの新造機であった。エチオピア航空302便(ET302便)は、アディスアベバからケニアのナイロビへ向かう国際定期便だった。同機には乗員8名、乗客149名の計157名が搭乗していた。現地時間8時38分にボレ国際空港を離陸した。離陸から1分後に、パイロットが制御面の問題が発生したが飛行は継続できると管制官に報告した。離陸から3分後に機体は運航上の限界を越える速度まで加速し、パイロットは空港への引き返しを要求した。離陸から6分後に機体はレーダーから消失した。消失時に302便は高度9,000フィート (2,700 m)付近を飛行中であった。飛行追跡データによると、機体は上昇と降下を繰り返していた。目撃者は、機体から白い煙を出しており、墜落前に奇妙な音を発していたと証言した。(ウキペディア)
これらの事故を受け各国からこの機の運航停止命令が出されるようになりました。一般的には航空機の製造国(今回の場合はアメリカ政府)が判断を示した後に各国が運航停止の措置を取る事が多いですが、今回はアメリカの判断を待たずして数多くの国が運航停止を指示しました。
こうした指示で737MAXは今、空を飛んでいないのですが、さらに今回は、この737MAXの見通しが立たないということで、ボーイングは「生産停止」の発表をしました。
この運航停止、生産停止により、ボーイング社は経営上大変な事態に陥いっています。既に損失は100億ドル(約1兆1000億円)近くに上っており、さらに航空会社に追加で50億ドル(約5400億円)の補償金まで約束させられているという話です。
また、今現在の受注残は4000機ある状況ですが、ワシントン州・エベレットにあるボーイングの工場の敷地には引き渡しができない737MAXがたまりにたまっている状況のようです。この在庫を一掃するには2022年下半期までかかる見通しとのことです。
現在のところ従業員のレイオフ等はないとの会社の発表ですが、今後、事態が好転しない限り、先行きは不透明と言わざるを得ない状況です。
この事故を起こした737MAXですが、機材として信頼を取り戻すには時間がかかりそうです。それはバッテリー発火事故を起こした当時最新鋭の787ドリームライナー。問題が解決をしてもやはり乗った時は、バッテリ大丈夫?と「心配」でした。もし、Eチケットに「737MAX」と記載されていたら、やっぱり「気分のいいものではない」のではないでしょうか。