4月・卯月(うづき)
4月は旧暦で卯月、稲を植える月で「植月」 が転じたとも言われていますが、卯の花が咲く月「卯の花月」 を略したものというのが定説のようです。卯月の「う」は「初」「 産」を意味し、1年の循環の最初を意味しますが、万葉集で「 初夏」を表す季語として使われることもあります。
桜
3月の初めから気象庁が発表する桜の開花予想のことを「桜前線」 と言いますが、4月に入ると「桜前線」 はその足を速めて北上していきます。 バンクーバーでは2月から3月にかけて様々な桜たちが私たちの目 を楽しませてくれますが、 4月になると美しい桜が満開を迎えます。 そう考えると私たち日本人は本当に桜が好きなのですね。古来、 農夫達は、「田の神様」 が宿る木として桜の木を大切にしてきました。この時期を旧暦で「 穀雨」と呼び、田畑の準備が整い、 それに合わせて春の雨が降る頃を指し、 農夫達は桜の木に手を合わせ献酒し、その年の豊作を祈るのです。
「しぼりたて生原酒」と「槽口」
ではこの季節ならではのお花見に合った日本酒について、 ご紹介しましょう。この時期の旬な日本酒というと、 やはり今冬に仕込んだ『しぼりたて生原酒』でしょう。 槽口という商品名でも呼ばれることがある日本酒で、 お酒と酒粕を分離する『槽』という道具があるのですが、 この道具の口から出てくる、 言わば濾過も火入れもされていない生まれたての日本酒のことを指 します。「麹ばな」とか「新酒ばな」と呼ばれ、 独特の芳香を敬遠する方もおられるようですが、 若々しく爽やかな味わいのある日本酒です。 生酒は夏の風物詩のように言われますが、 寒造りを終えた今の時期にこそ、 その新鮮さを味わえる絶好の季節なのです。
日中の暖かい日差しが雪解け水を呼び、 残雪からふきのとうが芽吹き、 春を感じる新しい始まりの季節です。 では日本の美しい季節に一献献上!