6月・水無月(みなづき)
6月は旧暦で晩夏、夏の終わりに当たりますが、日本各地では、そろそろ梅雨入りを迎える頃でしょうか。
京都に「水無月」という葛の上に小豆をのせた三角形のもちもちした食感の京菓子があります。京都では6月にこの水無月を食べる習慣があり、その由来は平安の頃から6月1日に「氷の節句」と呼ばれる行事が宮中で行われていたことからで、宮廷の皇族は冬に積もった雪を貯え、自然の冷蔵庫ともいえる「氷室」から切り出した氷を食して無病息災でいられるよう祈念したのです。しかし氷は庶民にとって大変高価なため、氷の形に似せた水無月の菓子を食べて、暑い夏を乗り越えようと考えたのです。ユーモア溢れる発想だと思いませんか?
「冷や酒(ひやざけ)」は常温のお酒?
「涼を取る」という日本語がありますが、これは自然のままで暑さを凌ぐ、すずむという意味です。日本酒は冷蔵庫のない時代からの飲み物で、常温で飲むか、温めて飲むかのどちらかでした。つまり「冷や酒」と言えば、実は常温を意味しており、これに反して「冷酒」と言えば、冷蔵庫などで冷やした日本酒を指します。
「普通酒」とは
「普通酒」とは吟醸酒、純米酒、本醸造酒など「特定名称酒」として分類されない日本酒を指します。「精米歩合が規定(70%)以下」、「添加する醸造アルコール量10%以下」、「農産物検査法に従い3等以上に格付けされた米の使用」、「麹米使用量が15%以上」などの条件で分類されています。普通酒は、品質が劣っているとか、美味しくない酒というわけではありません。酒造によっては、精米歩合が60〜70%の酒米や、有名な酒米100%を使用しているにも関わらず、「普通酒」と呼んでいたりと、大変美味しい普通酒が数多くあります。日本国内市場のシェアの約7割が「普通酒」で占められており、各酒造メーカーは気軽に飲める美味しい日本酒の醸造にしのぎを削っています。手軽に買える自分に合った普段着の美味しい日本酒をぜひ見つけて下さい。
日本酒は、特別な時と場所だけで楽しむ飲み物ではありません。我々の普段の暮らしの中で、時間を楽しみ、人々が集い、笑顔にする日本の伝統ある飲み物です。
楽しみ方もさまざまです。皆さんの笑顔に一献献上!