あなたの歯は毎日溶けている!?
刺激的なタイトルで驚かれた方もいらっしゃるかもしれません、ゴメンナサイ。
でも、これ事実なんです。ということで、今月はお口の中のPH( ぺーハー) についてのお話です。
ここで素朴な質問です。どうして虫歯で歯に穴が開くのでしょうか?
皆さんはご存知ですね。『そんなの簡単だよ、虫歯菌が食べ物を原料にして酸を作るんでしょ?』
正解です!
それでは食事中にお口の中ではどのような変化が起きているのでしょうか?
次のグラフをご覧ください。これは食事の前後でのお口の中のPH の変化を表したものです。通常、お口の中は中性で安定していますが(この状態では歯は溶けません)、食事を始めた途端PH は酸性に急降下します。
ちなみにグラフ中央の横線(臨界PH)を境に歯が溶け出し、元の状態に回復するまで最低30 〜40 分かかります。つまりこの間、人間の歯は溶け続けるわけです。
それでは、なぜごはんを食べた後、歯に穴が開かないのでしょう?
答えは『唾液』です。
実は唾液には消化を助ける以外にも大切な役割があります。1つは酸を中和する緩衝作用、もう1つは歯から溶け出した成分を補う再石灰化です。
A: 食事中に溶けた分( マイナス)=B: 唾液が助けてくれる分( プラス) で健康な状態が維持されますが、甘いものの取り過ぎや不規則な食事、お口のお手入れが不十分だとA>B となり虫歯ができる訳です。
また歯磨きをするタイミングも大切で、例えば柑橘系の果物や酢の入ったサラダドレッシングなどを食べた後は、エナメル質が柔らかくなっているので酸が中和されるまで30 〜40 分待ってから歯磨きしてください。
ちなみにお水やノンシュガーのお茶ではPH は変化しませんので水分補給はこまめにしてくださいね。 ( 文 澤井靖典)