Wellness and the Nature
第8回 睡眠と健康

第8回 睡眠と健康

私事ですが、7月上旬に念願のカナディアンロッキーへ1週間ほどロードトリップにでかけておりました。ほぼ温帯域に属し、植生も似ている日本本土とは違い、通過していく土地の自然環境が常に変化していく様はとても興味深いものでした。夜はキャンプをして大自然に抱かれながらの夜で心地良いものでした。しかし、常にテント泊だと気候によっては睡眠の質が落ち、起床時に疲労を感じることもありました。
 バンクーバーへ戻ってからも夜は21 時過ぎまで明るく、日の出も早いため、睡眠時間が短くなりがちです。今回は健康に必要な『睡眠』についてお話しします。
 良好な睡眠に欠かせないポイントは2点。睡眠の「量」と「質」です。単純ですがこの2点を同時に高めることが日々の疲労回復から仕事や勉強の集中力向上、体型維持を含めた健康に大きく寄与します。
 睡眠の量に関しては成人で6 ~ 8 時間ほどが一般的と言われていますが、実際には個人差があります。およそこの範囲の睡眠を普段からとっていれば問題ありません。どんなに熟睡していたとしても睡眠時間そのものが少ないようだと短期的には集中力の維持や日常生活に不便がなくても長期的には問題が起きます。例えば肥満もその1つ。
 スタンフォード大学の研究によると睡眠不足になると体内のレプチンが大幅に減少するという結果を発表しています。
 レプチンとは脂肪細胞から分泌される食欲抑制に関わるホルモンです。また、グレリンという胃から分泌される食欲増進に関わるホルモンは睡眠不足により増加します。
 睡眠不足という人体において危機的状態を脳が勘違いしてホルモンバランスが崩れ、エネルギー摂取を増やして乗り越えようとする影響が肥満に繋がります。
 そして睡眠の質には生活習慣が大きく関与します。有名なものでブルーライトやアルコールの弊害ですね。
 ご存知の方も多いかと思いますが、ブルーライトはスマホやPC から発せられる可視光線の1 つ。この光が睡眠に関わるメラトニン分泌を妨げます。ちなみにLED 照明も蛍光灯や白熱電球よりもブルーライト量が多いのでエコではあるものの夜間のLED 照明の使用は控えた方が良さそうです。その代わり夜は間接照明のみにするなど、徐々に暗くして入眠の準備をします。個人的にはオススメなのはキャンドルの火です(暖炉があればより良いですね)。
 スマホやPC の使用に関しても、極力夜間の使用は控えた方が良いですが、もし使うのであればブルーライトをカットする設定(iPhone では設定可、PC 向けアプリもあります)にするのが良いと思います。
 次にアルコール。寝る前にお酒を飲む、いわゆる「寝酒」をするとよく眠れると聞きますが実際は違います。睡眠の質が浅くなるため、常に覚醒状態のまま朝を迎えるという勘違いです。
そのため、感覚的にはよく寝られたと感じても実際には脳も体も休まっておらず、生活に悪影響を及ぼします。深い飲酒の場合は確かに寝られますが、二日酔いというオマケがつくこともあるため、とても質の高い睡眠とは言えません。
 特にお酒に関して「私は大丈夫」と否定する方がいらっしゃいますが、表面的な感覚と体内の状態の乖離は多々ありますのでご注意ください。
 寝る前にスマホを使わない・照明を暗くする・お酒を飲み過ぎないなど、質の高い睡眠(と健康な身体)はシンプルな生活習慣で得られます。
 ぜひお試しください。

ヤマモトマサ
名古屋出身。治療家。トレイルランナー。最新の西洋医学と伝統的な東洋医学を組み合わせた手技治療を行う。トレイルランナーとしては国内外多数のレースに参戦。昨夏はアメリカで 100 マイルレース完走。出張治療承ります。bit.ly/masayama

こんな記事も読まれてます。