日本から来てまもなく、「急に歯が痛くなった」と来院される患者さんがおられます。皆さん口をそろえて、「カナダに来る前に歯科検診を受けてきた」「カナダに来る前に、日本で治療を終わらせて来た」と言われます。
日本では、初診で来院された患者さんはパノラマという歯全体が写るレントゲンを撮ります。それは、歯の数・親知らずの有無や向き・歯槽骨の量などを診るために役立つものであり、小さな虫歯を発見するのには向いていません。患者さんが痛みや違和感を訴える場合は、部分的にレントゲンを撮ることもあります。
カナダに来て急に歯が痛くなったのは、パノラマレントゲンでは小さな虫歯の有無が確認できなかったためです。カナダに来る前までは痛みを感じていなくても、少しずつ進行した虫歯が発症し痛み出したのです。
カナダでは、初めから咬翼法(奥歯の小さな虫歯でも見つけやすいもの)という部分的なレントゲンを撮り、虫歯の有無を確認します。検診で小さな虫歯を発見した場合には、虫歯の部分のみを削って詰め物を被せる方法で早期発見、早期治療をし、虫歯の進行が広がらないようにしていきます。虫歯は放っておいても自然治癒しません。定期的に歯科検診を受け、早期の虫歯治療を心がけましょう。