日本でもすでにサロンオーナーとして成功していたアイリストの織絵さんは、バンクーバーで出会ったネイリストの康恵さんと共に、2015年12 月、ダウンタウンにビューティーサロン『MOCa』をオープン。キュートな笑顔には、質の高い日本の美容技術をバンクーバーに届けようという熱い思いが溢れている!
中山 織絵(なかやま おりえ)さん MOCaオーナー
今は、水をあげて根付かせている時期。育てて花を咲かせるというのが目標です。花が咲いた時に、次に自分が何を目指しているのかは、その時になってみないと分からないですね。
織絵さんが地元の千葉でお店を立ち上げたのは8年前、23歳の時だった。
前の職場を辞める時に、自分でお店を持つか、憧れていた留学をするかを悩んだ上、
独立の道
を選ぶ。
当時は、日本を出るよりもお店を出すことの方が簡単に思えた。しかし
ノウハウもない中、手探りで歩み始めた経営者の道。それでもセンスがあったのだろう、サロンは軌道に乗り、千葉と東京に2店舗を持つまでになった。
ずっと走り続け、少し疲れていた6年目、旅行でバンクーバーを訪れる。
海外は好きで各地へ行っていたが、バンクーバーには何か違うものを感じた。
ここに住んでみたい! ここで自分のキャリアであるまつ毛エクステンションで勝負をしたい!…
それが、2012年の夏。
早速、自分の不在中も、お店が回っていくための体制作りに取り掛かる。それが何よりも大変だった。千葉のお店は自分が20代の大半をつぎ込んだ大切な分身。それをないがしろにするつもりは一切なかった。日本側を上手く回しながら、バンクーバーで初心に戻って一から始めたい。
準備には2年半を費やした。
オープンさせてから、カナダ人は、美容に対して無頓着と感じる。そういう人たちに興味を持ってもらい、1人でも多くの人に“まつエク”を知ってほしい。今は、日本流の接客、技術、製品を武器に、その良さを伝えていくことが新たなやりがい だ。
カナダに長期で滞在してみて、時間の流れ方、心の余裕が違ってきているという織絵さん。日本での自分は、ロボットのようだったと表現する。確かに刺激という点では日本の方が勝っているし、その刺激はこの仕事を続ける上で必要だ。日本のことは大好き。それでも、今はバンクーバーに根を張っていく。満開の花が咲く と信じて。
鈴木 康恵(すずき やすえ)さん
日本だと、時間があるともったいなくて、やりすぎちゃうんです。夜中でも車を出して出張ネイルとか。でも、こちらではそこまでしなくても良いと思える。自分の働き方を見直せました。
高校生の時、手にしたネイルの雑誌。
自分の爪にコンプレックスがあった康恵さんはその美しさに魅了される。その思いが高じ、短大に通う傍らネイルの学校にも通い、ネイリストとして就職した。
ネイリストとして精力的に働きながらも、少しマンネリを感じ始めた頃、友だちが住むハワイを訪れ、3ヵ月ほど滞在。すっかり気に入って、そこで仕事をしたいと考えたが、まずは英語が課題だった。ただ、語学留学には、ハワイは色々な点で不向きと判断して、まずはカナダへ行くことに。
語学留学でトロントに来たのは2013年。その後、日本へ帰る通過地点として“ついで”に訪れたバンクーバーだったが、人の優しさに魅力を感じ、ワーホリで戻るならここだと思うようになる。
織絵さんと出会ったのはこの時だ。しかし、当時は一緒に働くようになるとは思いもしなかったという。
日本帰国後、ワーホリ資金を貯めるため、平日はOL、週末はネイリストとして働いていたある日、サロンに織絵さんがお客としてやってきた。その後、
と声がかかった。その申し出に応じた康恵さんはワーホリとして再びバンクーバーの地を踏む。
『MOCa』がオープンするまでの間は、カナダでの経験を積むべくリッチモンドで働いた。好まれるデザインも日本で経験していたものとだいぶ違い、英語での接客の難しさから、ビギナーに戻ったような気持ちだったそうだ。
相談相手が欲しくて、自分ではなかなか決められないタイプ、と自己分析する康恵さんは、経営の経験がある織絵さんに尊敬と信頼を寄せている。織絵さんは「同僚」と言ってくれるが、自分はまだまだと、謙虚だ。
その謙虚さは、改めて専門学校へ行き、美容について総合的に学ぼうという意欲にも現れている。
目指すはマルチプレイヤー。彼女もまた、新しい花を咲かせることだろう。
MOCa
715 Nelson St Vancouver BC CANADA V6Z 2A8
Phone (604)688-1647