Creators’ Lounge はカナダのトロントを拠点として、アーティスト支援活動を軸に、2012 年に発足した団体だ。
主にアートやアーティストの力を活かした企業のプロモーションやイベント制作を行っている。CEO のTOM さんは日本在住時から音楽プロダクションやイベントカンパニーのボランティアを通じてアーティストの支援を行っており、その現場で常にアーティストたちへのマネージメントの必要性を感じていた、と語る。
「ビジネスの面で、アーティストが生きていくのは本当に大変。マネージメント側がアーティストのためにもっとやれることがあるんじゃないかって、ずっと思っていました。ビジネスまでアーティスト任せじゃなくて、マネージメント側がちゃんとお金を作ってあげないといけないなって」。
2012 年、27 歳の時にワーキングホリデーでカナダに渡ったTOM さんは、まずはアーティストの表現の場所を作ろうと、イベント団体『Creators’ Lounge』を設立。
同じ名を冠した定期開催アートイベントを立ち上げた。イベントは、表現の場を求める若い現地アーティストの間で評判となり、現地アートコミュニティーとしての地位を確立した。
その後、様々なイベントの立ち上げや運営を手掛けるうちに、『Creators’ Lounge』は日系企業からの現地プロモーション制作依頼を受けるまでに成長し、本格的な事業の法人化を決意。2014 年より、現地法人として起業を果たした。
起業後は、トロントにおける日系企業の新商品プロモーション企画や、無印良品のカナダ1 号店『MUJI CANADA』のオープニングイベントや定期の店内ワークショップイベントの開催など、アーティストと企業を繋ぐ橋渡しとして、活躍の場を広げていった。
TOM さんは、クリエイター、アーティストの支援、プロモーションにおいて、彼らの「見せ方」が社会にとって大切だと語る。
「何かプロモーションするにしても、無機質と言うか、あまりにも企業側が作り込んでいる気がします。見せ方を作り込むなら、そこに関わるアーティストの感性が非常に大事だと思うんです。ですから、社会的にアーティストを支援して、彼らの感性を世の中にもっと出していったほうがいいんじゃないか、という意識がありますね」。
また、カナダの可能性についても、
と言うTOM さん。
「カナダでは、まだアーティストの支援を含め、でき上がってないものが多い。東京やニューヨークみたいにしっかりした組織や業界があるわけでもなくて、僕たちが育てていかなきゃいけないという責任感があります。だからこそ楽しい」。
ウチでしか経験できない体験で、アーティストと企業の双方の可能性を広げていきたいですね。
加藤:現地では「Communication Agency」と呼ばれています。企業と、アーティストや現地コミュニティー団体などの間に立って、コンサルティングを通じ、双方の紹介をしています。特に現地の口コミ的な動向にはアンテナがあるため、適材適所にアーティストの色を最大限出すということは、強みと自負しています。
もちろんPR・プロモーション・イベントなども行いますが、シンプルに言えば、いかにアーティストのクリエイションの場を増やすか、ということに注力しています。
加藤:現在、プロジェクト進行のスタッフが10 名ほどいます。プロジェクトの企画・進行をスタッフ主導で行うこともあり、彼らのやりたいことを尊重しています。ウチで働く人の中にはワーホリメーカーの方もいるので、みんなが海外に来てやってみたかったことを実現化することも仕事の1つと考えています。みんなでWin-Win になれるように、スタッフのキャリアアップにつながることを意識しています。
加藤さんからのメッセージ~これからの君たちへ
最近、いわゆる「意識高い系」という子をよく見ますが、正しい答えを求めすぎている気がします。正しい答えを求めすぎず、身近な所から一生懸命がんばれば、本当の目的が見つかるんじゃないかなと思います。
インタビューを終えて
語る言葉1つ1つに、アーティストや運営スタッフへの心配りと誠実さが垣間見えるTOM さん。同席させていただいたMUJI のワークショップでは、進行スタッフたちが表現したいことのサポートに奔走するTOMさんの姿があった。まさに『どうすればみんながWin-Win になれるか』ということを体現していると感じた。これからの活躍に注目したい。(草場 達也)
加藤 ”TOM”豊紀
(かとう とよのり)
1985年
神奈川県横浜市生まれ
2012年
警察官としての勤務を経て、ワーキングホリデーでカナダ・トロントへ渡航 イベント団体 Creators’ Loungeを設立
2014年
Creators’ Lounge Corporated を起業