カナダでキャリアを築くには色々な方法があります。日本で培った経験を活かしてさらなるキャリアアップを試みる人もいるでしょうし、日本でのキャリアとは全く異なる方向、いわゆるキャリアチェンジをカナダで試みる人もいます。今回のシリーズではキャリアチェンジを含めカナダで日本人の方々がキャリアを築く上で何が重要なのかを様々な方の例を交えてご紹介していきたいと思います。
グランドホステスから有名ホテルのパティシエへ
日本の大学卒業後は関西空港でグランドホステスとして2年間働かれたH さんがバンクーバーに来て思ったことは「将来のキャリアにつながる技術を身に付けたい」ということ。大学は英文科、そして卒業後は空港勤務のH さんが目指されたのは、今まで歩んできた道とは全く異なる方向の“シェフ”への道でした。
まずは半年間バンクーバーの調理専門学校に通い、卒業試験時の審査員だった5つ星ホテルのチーフシェフに仕事ぶりを認められて、ジョブオファーを見事に得ることに。料理の世界の経験が学校に半年間通った以外は全くなかったH さんでしたが、サードシェフとして5つ星ホテルへ入社し、その1年後には有名会員制ホテルにてセカンドシェフのポジションに就くまでにスキルアップされていました。
スーシェフとして技術を磨く中、当時ホテルでのデザートが外注であったことがどうしても気になり、ホテル側に作りたての新鮮なお菓子をお客様に提供したいというアイデアを出し、得意であったティラミスをはじめ、様々なお菓子をお客様に出したところ、好評を得るようになり、遂には今までホテルにはなかったペーストリー部門がH さんのおかげでできるまで に。ペーストリー部門を取り仕切りながら菓子職人としての腕を磨く一方でBC 州の菓子職人が競う大会で優勝したり、世界的な料理コンペティションへBC 州チームの一員として参加して優勝したりと、ホテル内での仕事だけではなく外の世界でも着実にスキルをアップされていかれました。
「私、目の前に目標がないとダメなんですよ。だから大会とかがあると準備とかで大変ですが、その分ヤル気が湧いてきますね」
と笑顔で話されますが、コンペティションへの準備は通常業務外ですから休む間もないはずなのに、たまに長期休暇がもらえれば、海外の菓子専門学校に通い新しい技術を身に付けられるという向上心旺盛なH さん。お菓子の世界は流行の移り変わりが激しいので常に勉強し続けることが必須だそう。
成功への秘訣は、常に新しいことを学び、チャレンジすること
日本人であること、女性であること、言葉や文化の違いだけではない色々な壁がこれまでにはあったはずですが、そんなことを微塵にも感じさせないパワフルなH さんからは本当に良き刺激をいただきます。
キャリアチェンジには当然のことながらその新しいキャリアで活躍できるだけのスキル・知識が必要です。しかし、その新しいキャリアで成功するには、現状維持にとどまらず常に何か新しいことを学び&チャレンジしていくことがいかに大切か、Hさんを見ているとつくづく感じます。