旅行、留学、里帰り…空の旅の目的は数あれど、あまたある航空会社の中でも人気が高く、サービスに定評があるのが日系の航空会社。今回訪問させていただいた日本航空 JAPAN AIRLINES(JAL)は創立以来60 年以上に渡って、日本の空から世界の空へ、安全で快適な空の旅を提供し続けている。
けれど、普段JAL を利用していて目にするのは、チェックインカウンターや機内の客室乗務員の方々など『表側』のごく一部でしかない。その裏では、どんな人たちがどんな仕事をしているのか?
誰もが知っているJAL の、普段は見ることのない『裏側』をご紹介します!
■到着から出発までの3 時間に密着取材!
バンクーバー空港(YVR)午前11 時25 分、JAL 018 便が到着する。
到着の1 時間前には、飛行機から衛星通信でその日の乗客の様子、特別なケアを必要とする方はいないかなどの情報が伝えられる。
到着してドアが開くと同時に、地上で万全の体制で降機してくる乗客を迎えられるように準備が整えられる。
同時に、貨物室からは粛々と、然るべき順番通りにコンテナが運び出され、乗客たちが待つターンテーブルへと送り出される。
藤原:もしも荷物の取り間違いなどがあった場合には、JAL のスタッフがお話を伺って、持ち主の方にきちんと荷物が戻るよう対応します。目的地に到着したら終わり、というのではなく、お客様が最後に空港を出るその時までパーフェクトを目指すのが、日系のキャリアとしての日本航空の使命だと思っています。
到着便のキャビンクルーたちは次のシフトに備えて、ホテルへと向かう。
コックピットクルーは2泊、CA は1 泊というスケジュール。
ここから到着した18便が、日本に折り返すことになる。
JAL 017 便、14 時15 分定刻発に向けて、時間との競争が始まる。
飛行機が地上にいる約3 時間で、機体の整備、貨物搭降載、給油準備などを行う。
Q:整備士のお仕事はどういったものですか?
山本:主に2 種類の整備を行います。
【重整備】機体を1 ヵ月ほど格納庫に入れて、部品を外して機体の塗装まで落として、細かい部分に至るまで確認するもの。
【ライン整備】飛んできた飛行機が地上にいる間に、燃料を積んで、次に成田まで安全に飛べるかを確認するための飛行前点検です。
整備士としての点検作業が終了した後は、お客様が気持ち良くフライトができるように、機内の美観を整えたり片付けたりもします。
Q:飛行前点検は何人で行うのですか?
山本:基本的に整備は1人シフトで行います。このボーイング787 は、機体の状況やどこに不具合があるかなど、すべての情報をコックピット内から確認することができるので、1時間ほどで機体全体の点検が可能です。
以前は、機体のあちこちに移動して作業していました。アシストが必要な場合はエアカナダから整備士の方を1人お願いしています。
チェックインカウンターでは搭乗受付や荷物のチェックインが始まり、オフィスでは機長と副操縦士が、フライトオペレーションオフィサーを交えて、搭載計画の確認や気象情報、飛行ルートの確認をする、 ディスパッチブリーフィングを行う。
伊東機長:誰も怪我をせず、無事に目的地まで安全に飛ぶことを第一に考えて確認作業をしています。
飛行中、一番怪我をしやすいのがタービュランス(乱気流)です。気象予報に基づいてチェックしますが、予報が必ずしも当たるとは限らないので、今までの経験の蓄積や、知識の積み重ねを意識することを大事に心がけています。
清副操縦士:ベテランの機長と比べて、自分には経験の蓄積がまだ足りないので、機長とのフライト中には、自分が操縦中に気になった部分をアドバイスしてもらったり、自分のやり方や考え方と違えば質問や確認をして、 経験値を上げていって、安全運行にどんどん近づけられるようにしています。
安全運行のための重要な部分を占めているのが、
重量管理=ロードプランニングだ。
重量のウェイトアンドバランスは、安全な離着陸のためにとても重要な部分で、きちんとした資格保持者が搭載計画を作る。
乗客の座席配置と、荷貨物の搭載位置で重心位置が定まり、それによって離陸の際のフラップの角度、臨界速度(滑走路の端で停止できるギリギリの速度)、V1(離陸決心速度)、VR(操縦桿を引くタイミングの速度)などを決定する。
藤原:私たち日本航空の仕事は、何より尊いお客様の命をお預かりして、安全に目的地までお運びすることです。
それがすべての仕事のベースにあって、その上に、お客様に満足いただけるJAL ブランドのカスタマーサービス、定時性、利便性、快適性なども含め、安心と信頼を形作る努力をしています。
Q:ミスが許されない中で、定時運航するのは大変な作業ですね。
藤原:几帳面な日本人の方なら時間通りに行動されますが、カナダには多様な人種の方が住んでいて、中にはのんびりした国民性の方もいらっしゃるのは事実です(笑)。
業界では『14 分以内に出発すればオンタイムと見なす』という目安があるのですが、
JAL では『ゼロミニッツ』
本当の意味でのオンタイムを常に目指しています。
パーフェクトを目指すには、常に改善点を意識しながら原因を追求し、問題点があれば、できる限り改善に務めることが重要です。
Q:日本航空ならではのサービスは、日本人のみならず他の国の利用者からも高い評価を得ていますが、普段から心がけていることは何でしょうか?
藤原:日本のお客様は、高い水準のサービスに慣れておられるので、当然同等のサービスを期待されます。
その期待に応え、お客様1 人ひとりの最良のひとときのために、見えない部分でも万全を期して準備することを心がけています。
2010 年の経営破綻から再生して新しいチャンスをいただいたところで、それまでの普遍的な伝統に加えて、革新的なものを取り入れて、新しい風を入れてきました。
同時に、日本の会社ならではの『おもてなし』や『しつらえ』、一期一会を大事にする『茶の心』も大切にしています。
お客様からいただくコメントは、良いものも悪いものもすべて全員で共有して、常に改善に努めています。
2010 年の経営破綻から再生して新しいチャンスをいただいたところで、それまでの普遍的な伝統に加えて、革新的なものを取り入れて、新しい風を入れてきました。
同時に、日本の会社ならではの『おもてなし』や『しつらえ』、一期一会を大事にする『茶の心』も大切にしています。