バリスタへのきっかけ
バンクーバーはコーヒーの激戦区。道行く多くの人はコーヒーを片手に歩いている。コーヒーへのこだわりも強く、ひとつのオーダーにミルクの量や種類など、たくさんの注文が入ってくる。だから英語の勉強にもなる。
それが大学在学中に見たテレビ番組の内容だった。20 代半ばの女の子がワーホリでカナダに行き、コーヒーショップで働いている。とても素敵だと思った。
私が単純なのか、それとも縁だったのか。
自分のカフェを持ってみたいと思うほどカフェ好きの私。あのテレビ番組を見た時にはすでに、『カナダにワーホリをして、カフェで働く!』そう決意していた。
…と言っても、カナダのカフェで働きたいからワーホリをすると決められるほど、私は思い切りのいい方ではない。はじまりは、『英語が勉強したい!』だった。
物心ついた頃から英語が好きで、大学では専攻にこそ選ばなかったものの、英語教師の免許を取得した。就職氷河期にぶちあたって、自分の将来像がわからなくなった時、思い浮かんだのが英語教師という道だった。
先生になるなら、英語に対してもっと自信をつけたかった。特にスピーキング。勉強する方法は他にもあっただろう。別に海外に来なくても、日本で教師として求められる知識や経験を積むことができたかもしれない。それでもワーホリという道を選んだのは、実生活の中で生きた英語を学びたかったからだ。
大学卒業後、ワーホリ資金を貯金するために就職し、1年半働いた。営業職として働くことは決して容易ではなかったけれど、職場の人にも恵まれて『働くこと』を少しだけ知ることができたと思う。
迷いながらも、結局は直感に従ってカナダに来た私。当時は、将来への期待よりも不安の方がずっと大きかったけれど、今は、たくさんのご縁に助けられてここにいることに心から感謝している。
私がバリスタになるまで、はじまりはじまり。