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今の時代ならではの青春映画!~『Love, Simon』

今の時代ならではの青春映画!~『Love, Simon』  

 青春コメディーの傑作と言えば、80 年代の作品ながら今でも多くの人に愛されている『フェリスはある朝突然に』(1986 年・John Hughes 監督)が真っ先に思い浮かぶ。高校3 年生のフェリス(Matthew Broderick) は、病気と偽って学校を休み、恋人と親友を連れて父親の愛車でシカゴの街へと繰り出す。著名人の名を騙って予約したレストランであわや父親と遭遇しそうになったり、仮病を本物の重病と勘違いしたクラスメイトたちがフェリスの治療費を募るキャンペーンを始めたりと、ハラハラする展開を交えつつ、「休暇」を思いっきり楽しむフェリスたちの半日を描いた青春映画だ。後にフェリスの高校生活を描いたTV シリーズが作られたり、近年のヒット作『Deadpool』(2016 年)や『Spider-Man:Homecoming』(2017 年)でもオマージュ的に登場したりと、根強い人気を誇っている。
 時は流れて2018 年。今の高校生を主人公にした珠玉の青春コメディーの代表作と言えるのが、現在公開中の『Love, Simon』(2018 年・Greg Berlanti 監督)。Simon(Nick Robinson)は高校3 年生。父親が誕生日プレゼントで買ってくれた愛車で、毎朝、幼馴染みのLeah とNick、そして最近転校してきたAbby を乗せて通学している。私生活も学校生活も平穏かつ順調、ただし、Simon には誰にも言えない秘密があった。それは彼がゲイだということ。ある日、学校の裏掲示板に『自分はゲイだ。ずっと黙ってきたけれど、誰にも言えなくて苦しい』という匿名の書き込みがあった。それを見て、気持ちを抑えきれなくなったSimon は匿名でメッセージを送る。そして正体不明の書込主“Blue” との秘密の交流が始まった。本名はおろか顔も知らないBlue と偽りのない本音のやり取りを続けるうちに、Simon は次第に彼に惹かれて行くが…。同性愛を巡るカミングアウト、アウティングのテーマ、友人や家族との関係、Simon の「初恋」を等身大に見せてくれる。タイトルにもなっている“Love, Simon” の意味を悟った瞬間、見る人は笑顔を浮かべるに違いない。春の訪れが近いこの季節、心にも春風が吹く優しい物語だ。
(3 月20 日現在、Cineplex Odeon International Village にて上映中)

高野 宣李(たかの せんり)
Twitter: @usagy_van
さすらいの旅がらすライター。2002 年からバンクーバーに在住。好きな海外ドラマ、映画は数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、カナダ、アメリカ、日本を股に掛けて映画やテレビを追っ掛ける日々。
Web 媒体を中心に海外ドラマや映画レビューなどを執筆。
海外ドラマ&セレブニュースサイトtvgroove.com
オフィシャルブログ『usagy のアメリカンTV 気まぐれウォッチング』を不定期更新中。

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