火曜日は映画に行こう!
“ Made in Canada” 映画を観よう!

“ Made in Canada” 映画を観よう!

 「カナダ映画の日-National Canadian Film Day」https://canadianfilmday.ca/)というのがあるのをご存知だろうか? 2014 年4 月から始まったこの催しは、年1回、1日だけのカナダ映画の祭典だ。6 回目を迎えた2019 年の開催日は4 月17 日で、カナダ及び世界25 ヵ国で1,000 を超える上映イベントが開催された。今年は、カナダ映画史の中でも重要な位置を占める『Back to God’s Country』(1919 年)が公開されてから、ちょうど100 年目に当たる。カナダ人女優Nell Shipman が主演・脚本共同執筆をした作品で、カナダ映画史上、最も成功を収めたサイレント映画だ。当時主流だったスタジオのセット撮影とは異なり、広大な自然と野生動物を背景に全篇ロケーショ
ンで撮影された。資料を見ると、ヒロインが野生のクマと戯れたり、北極圏を犬ぞりで疾走したりする、なかなか「カナダらしい」作品だ。
 今回は、このカナダ映画の日にちなんで、最近公開された、またはこれから公開されるカナダ映画を紹介したい。
 『Giant Little Ones』(2018 年/ 監督・Keith Behrman):2018 年のトロント国際映画祭で高い評価を受け、その年のベスト10 映画に選ばれた。17 歳の誕生日に起こった「ある出来事」によって、学校生活や友人たちとの関係が一変してしまったFranky(Josh Wiggins)の葛藤と悩み、自分のアイデンティティを見つめ直す過程を等身大に描いた青春映画。
 『Through Black Spruce』(2018 年/ 監督・Don McKellar):Joseph Boyden作の同名小説を原作にしたサスペンス映画。行方不明になった双子の姉を探しにトロントへ出てきた妹が、姉の足跡を辿る中で家族の誰もが知らなかった姉の姿が浮かび上がってくる。ドラッグや暴力、現代のindigenous(カナダ先住民)コミュニティが置かれている現状をリアルに描いている。
 『The Grizzlies』(2018 年/ 監督・Miranda de Pencier):北米で最も自殺率が高いと言われるカナダ・ヌナブト準州のKugluktuk。イヌイットの子供達が通う学校へ、白人の教師が赴任して来る。彼は、貧困、家庭内暴力、飢え、将来の見えない閉塞感に喘ぐ生徒たちに、ラクロスを教え始める。スポーツなどやったことがなかった彼らが、ラクロスを通して徐々に自分たちのルーツ
への誇り、家族や友人たちとの繋がりを見出していく。実話を元に描かれたこの作品からは、心を打つパワフルなメッセージが伝わってくる。

高野 宣李(たかの せんり)
Twitter: @usagy_van
さすらいの旅がらすライター。2002 年からバンクーバーに在住。好きな海外ドラマ、映画は数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、カナダ、アメリカ、日本を股に掛けて映画やテレビを追っ掛ける日々。

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