バンクーバーにはたくさんのビザ・コンサルタント会社が存在します。その中の一つ「Shine Canada」を訪問し、「ビザ」について、いろいろとお訪ねをしてきました。
このオフィスを運営されているのは平良ゆりさん。彼女は2007 年UBC にて経営学修士(MBA)を学ぶために渡加し、2011 年にはBC 州公認キャリア指導者に認定され、カナダ政府公認移民コンサルタントとして活躍中。そして今は大学でも教壇に立つ、というパワフルな女性です。Oopsとの10年近いお付きになりますが、信頼できる人柄、仕事ぶり、そしてその実績には太鼓判が押せる女性です。
学生ビザ、ワークビザはもちろんのこと、コモンローや結婚をされての移民相談など、安心してご相談できるコンサルタントさんだと思います。
ワークビザをどのようにすれば取れるか、というお尋ねをよく受けます。ザックリとした感じで、今、ワークビザは取りやすいのでしょうか?
そうですね。取りやすい、というご質問が何をもって取りやすいか、ということかわかりませんが、ワーホリからワークビザへ切り替える、という意味では、2010 年頃にあった「バンクーバーオリンピック需要」に比べてレストランなどの飲食関係でサーバー職でのワークビザは取りにくくなっています。もし、レストラン関係でワークビザをもらおうとすると、そのレストラン内での仕事のポジション、例えばマネージャークラスであれば可能かと思います。もし、日本食レストランでコックもしくはシェフとしてビザ申請をするのであれば、過去に数年(2〜3年)の経験または調理師専門学校を卒業されているのであれば、ビザ申請は可能かと思います。過去に調理関係の経験が全くない方でも、例えばワーホリでキッチンヘルパーとして1年間しっかり働けばアシスタントコックとして申請も可能になってきます。
それはバンクーバー地区での申請が通りにくいのであって、もし、バンクーバーを離れて、例えばパウエルリバーのような遠隔地でのレストランならワークビザが出やすい、ということはないでしょうか。
そういうことをお話しになられる人もいますが、例えばその地区のレストランが日本料理の経験が必要なのかどうか、日本語を話すスタッフが必要なのかどうかですよね。特にカナダの公言語(英語・仏語)以外の言語の必要性に関してはService Canada はかなり厳しく審査するので、日本食や寿司レストランのような絶対的な必要性がない限りはかなり難しいかもしれません。
では、手に職を持った「ヘアスタイリスト」や「ネイリスト」、そして、「スパ」の資格を持った人がワークビザを申請する場合はどうでしょうか。
カナダで働きたいから何か資格を取りたい、というので100 万も200 万も専門学校につぎ込む人もいますので、そのあたりはいかがでしょうか。
スパの資格を取るのに結構お金がかかりますよね。でも、エステシャンのNOC レベルは「C」で、ワークビザ申請に必要なLMIA が認可される確率は極めて低いので、時間とお金の無駄かと思います。スパであればスパマネージャーのポジションにてLMIA を申請されることをお勧めします。それならばNOC レベル「0」なのでワークビザが取得できる可能性が高まります。ただマネージャーというポジションなので1 〜3 年の経験が求められるだけに、未経験の方がカレッジを卒業しただけでは取得は難しいですね。今、挙げられた職業ではヘアスタイリストが一番ワークビザに近い存在かと思います。美容・理容師のNOC レベルは「B」なので、LMIA が認可される可能性はあります。ネイリストもエステシャン同様にNOC レベルは「C」なのでワークビザ取得を取得するには難しい職業ですね。ただ、これもサロンマネジャーであれば可能性は出てきますが…。今、ワークビザの申請がしやすくなったのはCaregiver の分野です。海外在住の方もしくはビジターの方ならLMIA なしでワークビザの申請ができますし、カナダ国内に在住されているワーク・学生ビザ保有の方でも雇用主の方の年収が$150,000 以下であればLMIA 申請料$1,000 は免除なので、以前に比べてかなり申請へのハードルが下がったのではないでしょうか。私からのアドバイスですが、もしワークビザをお考えなら、学校に申し込む前やお仕事に就く前に「この勉強や職種がワークビザにつながるのかどうか」をご相談していただければ、と思います。
では、次によくお尋ねをいただく、コモンローについてお話ししていただけませんでしょうか。
コモンローは日本語で事実婚ということです。第1条件が「同じ屋根の下」で1 年以上生活をすることです。ただ1 年間同居されたという証明だけではなく、事実婚ですから夫婦同様の生活を共にされているという証明が必要です。例えば、賃貸契約はお二人の名前で契約されたり、お互いに食料・光熱費などの生活費を分割したり、共同銀行口座を開きお互いの資産を共有したりという夫婦同様の生活を行なっている証明が必要です。また、生命保険などで受取人をパートナーに指定することで、お互いにとって相手がどれだけ大切な存在であるかを証明できます。最低でも1 年間の同居生活がコモンローの条件ですから、ワーホリの方がもし恋に落ちてコモンローをお考えになられた時には、ビザの延長が必要になってくるケースがほとんどです。ビザの期限切れが近づいてからバタバタするのではなく、早め、早めにご相談していただければと思います。
相手になる方はカナダ人になるわけですが、PR カードを持った人でもその対象になりますでしょうか?
はい、もちろんカナダ生まれの方でなくても、カナダ国籍を永住権取得後に保有されている方でもスポンサーになれます。過去に配偶者もしくはコモンローパートナーにスポンサーになってもらい、カナダ永住権(PR)を取得された方であれば、PR 取得から5 年以上経過していることがスポンサーになる条件なのでご注意ください。
次に個人移民ですが、結構ハードルが高いですよね~。
本当に高いですよね。Express Entry の申請にてITA を受理するにはCRS で450 点以上が最近の傾向です。日本在住、カナダでの就労もしくは就学経験が全くない方にとって450 点以上取得はかなり高いハードルです。カナダの大学・カレッジを卒業された方や現在カナダで就労されている方にとっても高いハードルなので、Express Entry を通してのPR 申請を希望される多くの方が州ノミニープログラムを通してCRS600 点を取得する必要があります。州ノミニープログラムなし(雇用主のサポートなし)個人の力だけでCRS を450 点以上のレベルまで上げるには、大卒の方であれば、カナダの就労経験1 年以上プラス英語力CLB 9 以上ある必要があります。英語力CLB 7 の方でも色々な条件によって450 点以上取得も可能なのですが、Express Entry のCRS ポイントの計算方法は複雑なので、今この場ですべてを説明するのは難しいですね…。昔は個人移民はカナダ国外・日本在住の方でも可能だったのですが、おっしゃる通り、今はかなりハードルが上がってしまったので、カナダ国外からのPR 申請は本当に難しくなりました。